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鈴木徹という生き方#09 
負けたことから学んだことの巻

■ミスをすることに慣れてしまっていませんか?

 『自分の足りないところを教えてくれる』。今までの競技生活の中で?負けたこと?により学んだことです。負けるということは、ミスをたくさんしてしまうこと。スポーツの世界では、ミスが一番少なかったものが勝者となります。これは、ビジネスの世界においても当てはまるかもしれません。そしてどちらの世界もミスを繰り返してしまえば信頼を失い、しまいには今のポジションや職を失ってしまうことだってあるでしょう。しかし、人間だからミスはつきもの。だからこそ、そのミスをいかに少なくできるか、そしてミスをいかに次に繋げるかが大事になってくるわけです。
 例えば、ボクがやっている走り高跳び。ひとつの高さにおけるチャンスはたったの3回です。まさにミスをしたら脱落というサバイバルゲーム。もちろん最初から成功することを目指しますが、これは仕事と同じように、なかなか一発で最高の結果を出すことは難しく、3回目でやっと成功することのほうが多いわけです。その3回の間にミスを確実に修正し、ここぞ!というときに力を発揮できた選手がNo1の称号を得ることができます。
 さて、ここで質問なのですが、みなさんはミスをしてしまうことに慣れてしまっていませんか? とくに小さいミスは、些細なことと見過ごしてきた経験もあるでしょう。でも、小さなミスも?塵も積もれば山となる?ように、結果的に大きな失敗に繋がってしまうことがあります。なぜ言い切れるかといえば、実はボク自身が経験しているからなのです。

■失敗を人のせいにせず、反省し「なぜ?」と考えることが大事

 競技を始めて半年で迎えた2000年のシドニーパラリンピック大会。会場の独特の雰囲気に呑みこまれて結果は6位。そのときは素人同然でしたので「次がまたあるから」と思うくらいで、敗因について深く考えることもありませんでした。また、それからの試合でも、結果が出なければ「指導者の教え方が悪い」だとか「体調やグランドがいまいち」など言い訳をしては逃げていました。自分のミスを認めずに、自分以外のモノに罪をかぶせていたわけです。仕事の現場で言えば、「上司が悪い」「時間がなかったから」「仕事をする環境が悪かった」と言っているようなものです。
 それでも、とにかく日々の仕事、つまり練習さえやっていれば何とかなるだろうと思い迎えた2004年のアテネパラリンピック大会。助走のリズムがほんのわずか狂っただけで、いつもミスをしない高さを失敗してしまいました。それからというもの、一度狂った助走のリズムを戻せぬまま試合は終了。結果はシドニー大会と同じ6位。さすがに自分の不甲斐なさに落胆し、帰国後の1ヶ月間は練習をする気さえ起きなかったことをよく覚えています。
 その後、時間の経過とともに少しずつ冷静になることもでき、「どうして負けたのかな?」と改めてじっくり考えてみました。自己記録さえ更新できれば勝てるチャンスがあっただけに「勝負弱いのかな?」「緊張しやすいのかな?」「プレッシャーに弱いのかな?」などなど。ですが、これといった原因、そして解決策は見つかりません。そんなときにふと思ったのが、「そういえば俺は基礎練習をしていない。だから大一番で実力を発揮できないんじゃないか…」ということだったのです。「なんだ今さら」と思われるかもしれませんが、これには理由があります。ボクの場合、走り高跳びを始めたのは大学から。勉強と一緒で大学では専門的な練習がメインとなりますし、僕自身の記録も右肩上がりに伸びていたので基礎練習の大事さに気付かずにきてしまったわけです。

■負けを糧に、より強くなった人間を企業も欲している!

 基礎練習の不足…それにより起きていた小さいミスの数々を見過ごしてしまったことにより、僕は2度のパラリンピックで大きな失敗をしてしまいました。でも、その失敗のおかげでようやく大事なことに気付くこともできました。だからこそ、来年度に控えている北京パラリンピック大会ではなんとしてでも結果を出したい、いや出さなければいけないと思っています。自分自身に変なプレッシャーをかけたくはありませんけど、宣言した以上はやるしかないですもんね!
 ミスは誰にでもつきもの。でも、そのミスがたとえどんなに小さいものだったとしても、ムーディー勝山さんのように右から左に受け流さないで(笑)。ちなみに、同じようなミスを何度も繰り返してしまった場合、その後の信用を取り戻すのは容易なことではないでしょう。転職するのもひとつの手かと思います。ですがその際も、なぜミス=失敗をしてしまったのかよく考え、今の自分には何が足りないのかに気付くことが大事。そうでないと、そこでの負けがムダになってしまいますからね。「負けを知らない人間は弱い」とは、昔から言われていること。その負けを糧に、より強くなった人間を企業でも欲しているはずですから、まずは自分自身を見つめ直すことからはじめてみてはいかがでしょうか。