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鈴木徹という生き方#06 
海外生活を経験して、分かったことの巻

■年々変わる、気分転換の観光

2000年のシドニーパラリンピック以降、毎年のように海外へ遠征にでかけているボクですが、プライベートで行ったのは家族と行った香港とフィジーのみ。10カ国以上行ったうちのほとんどが試合なのです。滞在期間はだいたい2〜3週間ほど。「色々なところに行けていいなぁ」なんて思っている人がいるかもしれませんが、観光できるのはせいぜい2日くらい。意外!?と思った方もいるのではないかと思いますが、あくまでも試合がメインですし、慣れない環境での行動は大きな疲労を招きますので、気分転換をする以外は宿の周辺をウロウロするくらいなのです。
 観光といっても遠くへは行けずに市内で買い物することが多いのですが、年々やることが変わってきています。初めのころは、ブランドのアウトレットショップめぐりでしたね。日本では高価で手が出ない商品が、半額くらいで買えるわけですから。シーズンを過ぎた商品といえども、バーゲンセール中で買い物客はボクだけっていう感じですからね。それはもう1人で興奮していましたよ(笑)。その翌年はスポーツショップめぐりにハマり、今では建物や街の風景を写真で撮ること。日本ではカメラを持ち歩いて写真を撮るなんてことはほとんどしないボクですが、海外に行くと何故か撮りたい衝動に駆られるから不思議です。一番のオススメは、やはりツール・ド・フランスのゴール地点にもなっているコンコルド広場から凱旋門まで続くシャンゼリゼ通り。時代を超えても変わらない外観には統一感があり、ここにだけは一度住んでみたい!と思いましたね。また、パリ中心部は町並みを変えてはいけないとして法律を定めて国に保護されているので、当分は待ってくれそうですしね(笑)。

■自分を大きく変えたアメリカ遠征

 海外へ行くことは、人の行動を変える何かがあるような気がしていますが、ここまで変わるか!?という遠征がありましたので、ご紹介します。2002年に単身で行ったアメリカ遠征。日本代表チームやツアー旅行で行く場合などは、必要な書類を記入する以外は旅行会社がすべてをやってくれるので、ことは楽に進みます。しかし、この遠征は試合のエントリーをはじめ、チケットやホテルの手配などをすべて自分でやらなければならなかったので、それはもう大変でした。
 まずは、試合のエントリーとホテルの予約。大会の要綱がホームページ上に掲載されていましたので、辞書を片手に英文をすべて和訳。学校の授業だったらここまでで良いのですが、今回は担当者へメールをし、実際に予約をしなければいけません。そこで、自分の中で何かが変わりました。それまでのボクは文法を気にしてとても英文なんか書けませんでしたが、この時は「通じればいいや」ぐらいのノリでいけたのです。それだけではありません。かなりの人見知りを自認するボクが、この見知らぬ土地で単語英語を駆使して積極的に交流を図ろうと動き出したんです。でも、そうなった一番の理由は?困ったから?なんですけど(笑)。シカゴ・オヘア国際空港はターミナルが4つもあるし、ホテルまでのシャトルバスもありません。でも、そこをクリアしなければ試合に出れませんから、さすがにボクも必死なりました。「人は追い詰められた時は何でもやる」なんて言われていますが、まさにその通りでした。

■海外生活をしたいと思ったら、すぐに第一歩を踏み出すべき!

 そうやっていくつかの試練をくぐり抜け、何とか会場であるフロリダ州のディズニー・ワールドへ到着。部屋に着いた時は、予想以上の疲労で…思わず肝心の目的を忘れそうになりましたよ(笑)。そうやって慣れない環境と言語の中で生活をしていると、さすがに普段と違った疲労も生じたようで、5日間の滞在中はすべて夜中に寝て早く起きるといった遅寝早起き状態。しかも食事は、毎日ジュースを片手にパンケーキとミートボールサンドを交互に食べる生活ですからね。このままでは試合も散々たる結果になると思いきや…意外にも100m、やり投げ、走り高跳びの全種目で自己ベストを更新!体調管理の必要性を疑いました(笑)。どうやら、試合よりも移動に気をとられていたぶん、余計なことを考えなかったことが良い結果をもたらしたようです。
 さて、読者の皆様の中にはホームステイやワーキングホリデーなど海外生活に憧れている方も多いのではないでしょうか? でも、実際にすぐに行動に移せる人は少ないようですね。どうしても「語学ができるようになってから」とか「自信を持ってから」になってしまうのでしょう。でも、いつになったら語学ができるようになり、自信を持てるかなんて予測できるものではありません。その間に「海外生活をしたい」という気持ちがなくなってしまう可能性もありますしね。
 これは僕の意見ですが、漠然とでも「ワインを学びたいからフランスへ行こう」とか「人を救いたいからカンボジアへ行こう」など思ったとき。そのときこそが、海外へ飛び出してみるタイミングだと思います。後先のことなんて考えなくていいから、まずは第一歩を踏み出してみましょうよ! きっと、新しい自分が迎えにきていますから。