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鈴木徹という生き方#12 
夢を持っている人、持っていない人の巻

■夢を追い求めやってきた過程が、大いに役立つ!

 ボクの小さい頃の夢はスポーツ選手になること。そして今の職業は陸上選手なので、一応、小さい頃の夢を叶えたわけになるわけですが、世間を見ると、夢を追っている人は意外と少ないように感じます。夢を抱いたことがない人などいないはずです。小学校の文集にみんな書いたのですからね(笑)。寂しいことに大人になるにつれて、その夢は消えてなくなってしまうのでしょう。
 それは親の世代をみればよく分かります。ボクに言わせれば「なぜ、夢を捨てたの?」です。だって、ほとんどの人が途中で進路変更をしているではないですか。こういうことを言うと必ずこう返してくる人がいます。「家族のために働いているんだ!」ってね。でも、そういう人ほど仕事帰りの居酒屋で、会社や上司に対しての不平不満をお酒の力を借りて流しているような気がしてなりません。そこで終わるならまだしも、家に帰ってその続きをされたとしたら、仕事の愚痴を聞かされている家族はいい迷惑です。それでも家族のためって言えるでしょうか? それならば、たとえ収入が少なくたって、「これがしたい!」という夢に向かって必死にやっていったほうが、自分のため、そして家族のためにもずっといいに決まっています。
 ボクは小さい頃から常に夢を持って生きてきた人間です。小学校のころは「スポーツ選手になって、大きな家に住んで、一流ブランドの洋服を着て、スポーツカーに乗るんだ!」なんて欲の塊のような夢を抱いていましたが、具体的なビジョンはもっていませんでした。それに、スポーツ選手になった今も、「一流のブランド洋服、スポーツカー云々」なんてものは夢のまた夢です(笑)。遠征をすればするほど赤字のでるような世界ですし、生活も簡単ではありません。
 中学に始めたハンドボールをきっかけに、「いつかは日本代表になって、世界へ行くんだ!」というゴールを見据えた夢を抱くようになるのですが、全国2位になったチームに県大会では1度も勝てずに卒業。高校は全国大会へ毎年出場している常連校に入り、高校最後の試合となる国民体育大会でやっとのこと全国3位になったものの、すでに日本代表の選考はなく、あと一歩というところで夢は叶いませんでした。
 しかし、日本代表選手を多く輩出している大学への進学が決まり、夢実現が現実味をおびてきたときのことでした。不運にも交通事故を起こしてしまい、右足を切断。結局、夢を叶えるどころではなくなってしまったのですが、夢を追い求めやってきた過程は大いに役に立ちました! 交通事故で1.5リットルのペットボトル3本分の血を流しても気を失うことはなかったですし、足切断を医師から宣告されても数時間で受け入れられたのですからね(笑)。その他、運動能力の向上はもちろんのこと精神力や忍耐力も鍛えられたなど、スポーツをやってきたからこそ得たものは計り知れません。

■最初から大きくて立派な夢を持とうなんて思わなくていい。

 しつこいようですが、ボクの人生は夢と一緒に歩んできました。なので正直なところ、夢を持っていないという人の気持ちは分かりませんし、時間を浪費しているとしか思いません。たとえば電車で例えると、その理由がよく分かると思います。まず、降車駅が夢になるのですが、それがあって初めて経路を決めることができます。途中停車はもちろんのこと、人身事故や故障などによる運転の見合わせもあります。定刻で走っていると言われる電車でも順風満帆にはいかないわけです。でも、そこで経験を積むことによってベストな方法も見えてきます。「各駅だと途中停車が多くて時間がかかるから、快速を使おう」や「この線は運転を見合わせることが多いから、1本早い電車で行こう」という風に。では、降車駅を決めなかったらどうでしょう。ほとんどの電車は終着駅が決まっていますので、その駅で降ろされてしまいます。ちなみに山手線だったら、いつまでもグルグルと周ることになってしまいます。
 また、もしも「夢を抱くにはもう遅い…」と嘆いている人がいるとしたら、「それは違う!」と声を大にしていいたいですね。いつでも、その気にさえなれば夢は持てるもの。その夢を叶えようとするからこそ、自然に努力もできるわけです。もちろん、その先に挫折があることは否めません。でも、それを乗り越えていくことで心が育ち、何より人間として強くなれます。いい例がボクです。足を切断したこともそうですが、自分のコンプレックスを平気で人の前でさらけ出すことができますし、今ならどんなことがあっても心は折れないという自信がありますからね。
 最後にひとつだけ、決してやってはいけないことがあります。それは、今、夢を持っていないからといって自分を攻めないことです。ただ夢の持ち方を知らなかっただけですから、何の問題もありません。夢を持てないアナタ、最初から大きくて立派な夢を持とうなんて思わず、まずは自分が得意だったり、やっていて楽しかったり、時間を忘れて没頭できるものを探してみてください。もちろん、趣味や特技のなかからでも構いません。ただ、これだけは守ってください。周囲の目は気にしないということを。人からどう思われようがいいじゃないですか。自分が好きなことには変わりないのですからね。気にしない、気にしない(笑)。ちなみにボクの場合、「義足で初のプロ選手になるんだ」なんて言ったとき、家族を含めて99%の人に反対されましたから(苦笑)。いいんです、どんな夢を持っても自分の気持ちさえしっかりしていれば。せっかく、この世に生まれてきたのですから、夢をたくさん持っていきましょうよ。楽しいですよ、夢を持った人生っていうものは…。